- 業種
- 建設・不動産
- 都道府県
- 東京都
- 利用人数
- 430名
- 形式
- クラウド版
- 導入前の利用製品
- パッケージ版 サイボウズ Office
- 導入パートナー
- リコージャパン株式会社
エスアールエス株式会社は、高所作業車・アタッチメント・ユニットハウスなど建設機械のレンタルを中心事業としており、建設機械レンタル業界最大手である株式会社アクティオのグループ会社でもあります。
同社は2006年に全社の情報共有の場としてGaroonを導入。現在は社員約430名、全国の約65拠点で、クラウド版 Garoonとkintoneを利用しています。15年以上Garoonを使う中でTeamsとの連携やIDaaSの利用と、今なお活用の幅を広げています。Garoonの利用方法や長く使い続けている理由を、管理部専任次長の渡辺和幸さん、管理部購買課課長の甲斐田暁良さん、管理部総務課の亀田有香さんに伺いました。
INDEX.01 利用の経緯
サイボウズ Officeからの移行で
拠点横断の稟議がスムーズに、クラウド移行も経験
――エスアールエス株式会社様の事業内容、IT活用の面で力を入れている点について教えてください。
当社は建設機械のレンタルを主な事業としており、国内に営業拠点が約65か所、従業員が約430人います。5人以下の小規模な営業拠点が多いこともあり、それぞれの拠点にITが得意な従業員がいるとは限りません。そのためIT活用や製品選定では「分かりやすさ」を重視しています。また、当社の行動指針の一つでもある「円滑なコミュニケーションとチームワーク」のために、社員にはスマートフォンを貸与して働きやすい環境の整備を心掛けています。
――Garoonの導入経緯を教えてください。
元々2003年からパッケージ版 サイボウズ Officeを使っていました。しかし、社員数の増加に伴ってサイボウズ Officeの利用推奨人数(300人)を超えてしまい、2006年にパッケージ版 Garoonへ移行し、同時にデヂエも導入しました。サイボウズ Officeの操作性には満足していたので同じサイボウズ製品であるGaroonを選んだのですが、移行時にユーザー教育などがほとんど必要なかったのが印象的でした。Garoonに移行したことで管理権限の移譲やアクセス権、ワークフローに関する細かな設定が可能になり、その後の成長に備えることができ大変助かりました。
――パッケージ版 Garoonからクラウド版に移行した背景を教えてください。
クラウドサービスが注目を浴び始めた中、2014年にクラウド版 Garoonに移行しました。クラウド移行には次の4つの狙いがありました。
- 1.場所を問わず、社外からも簡単に利用したい。
- 2.手間なく、いつでも最新バージョンを利用したい。
- 3.バックアップやシステムの運用をプロに任せて、自分たちはシステムやサービスの活用を考えたい。
- 4.コストを平準化し、予算を組みやすくしたい。
また、Garoonのクラウド移行にあわせて、当時利用していたオンプレミス製品のデヂエはサイボウズのクラウドサービス kintoneに移行しました。
――パッケージ版のご利用経験もある中で感じるクラウド版のメリットはありますか?
前段の「クラウド版に移行した4つの狙い」がクラウド版のメリットだと感じていますが、ユーザー目線で申し上げると、社内でも社外でも同じことができるのが一番のメリットだと思います。社外での利便性を考えて接続元の制限はしていません。外出が多い従業員は社外でスケジュールを確認したり、予定を登録したりすることが日常的によくあります。自宅や移動中にワークフローを処理している役職者は多いです。
――現在はGaroonのどのような機能をご利用ですか?
スケジュール、ワークフロー、ポータル、掲示板、メッセージを中心に活用しています。当社は拠点が多いので、拠点間で文書を回付しようとすると時間や労力がかかってしまいます。そのためワークフローを利用して社内手続きや稟議を電子化したり、掲示板でそれぞれの拠点に連絡事項を周知徹底したりできるのは非常に有用です。
特にワークフローはなくなると一番困る機能です。ほとんどの稟議や社内手続きはワークフローで行っています。全国の拠点から本社に回ってくる申請も多くあり、そうした申請や社内稟議をオンラインでスムーズに進められるので助かっています。FAXや郵送でやりとりしていた頃のような紛失のリスクもありません。ワークフローのおかげで決裁された申請書の保管場所に悩まされることがなく、過去の申請も簡単に検索できます。
INDEX.02 活用方法①
Teams連携も活用、Microsoft 365との併用理由はベストオブブリードの視点
――最近ではプラグインを使ってMicrosoft 365のTeams とGaroonを連携させていると伺いました。その背景を教えてください。
Teamsは以前から一部で利用されていましたが、利用が本格化したのはコロナ禍になってからです。コロナ禍でTeamsを使ったWeb会議の必要性が高まり、新しく利用を始めた社員が多くいました。しかし「Teamsの操作が難しい」「Web会議の開始時間になってもメンバーが揃わず、打ち合わせが始まるまで時間がかかる」という混乱の声もありました。また、TeamsもWeb会議の予定を作成・管理するスケジューラーの機能を持っていますが、当社ではすでにGaroonでのスケジュール管理が定着していました。Web会議の利用を広げるために業務のベースとして使い慣れたGaroonでWeb会議の予定や参加URLも管理したい。そんなときにGaroonとTeamsを連携させるプラグイン( CROSSLink 365 Teams連携)を見つけたんです。
――TeamsとGaroonを連携させた効果を教えてください。
連携によって、Garoonに予定を登録するだけでTeamsにもWeb会議の予定を作成できるようになり、TeamsでのWeb会議を含めて、スケジュール管理をGaroonに一元化できました。
Garoonのスケジュールに表示されているボタンを押せばTeamsでのWeb会議に参加できるので、スムーズに会議を始められます。Garoon上で外部招待のメールを送ることも可能です。
連携を導入したことで社員からは「使いやすい」と言ってもらえ、Web会議が社内に定着するにつれ、Web会議関連の問い合わせは少なくなりました。Web会議の定着によって各拠点から集まって開催していた支店長会議もオンラインになり、出張費や移動時間を削減できました。必要な時に、どこからでも簡単にWeb会議に参加できるので非常に便利です。
CROSSLink 365 Teams連携の詳細に関するエスアールエス株式会社様の事例記事はこちら
――Teamsの他に利用しているMicrosoft 365の機能はありますか?
Web会議やチャットでTeamsを使っているのに加えて、メール、WordやExcelといったOfficeアプリ、ファイル共有でSharePointやOneDrive、アンケート作成でFormsを使っています。
Microsoft製品の利用歴としては、以前からOfficeアプリを使っていました。2017年に電子メールのセキュリティ強化を目的にMicrosoft Exchangeが利用できるOffice 365を導入しました。現在はOfficeアプリも入ったOffice 365 E3のプランを利用しています。
Garoon | Microsoft 365 | |
---|---|---|
スケジュール管理 | Garoonスケジュール | |
Web会議 | Microsoft Teams | |
ワークフロー | Garoonワークフロー | |
メール | Microsoft Exchange | |
社内コミュニケーション | Garoonメッセージ | Microsoft Teams |
全社掲示・通達 | Garoon掲示板 | |
社内ポータル | Garoonポータル | |
アンケート | Microsoft Forms | |
ファイル共有 | Microsoft SharePoint Microsoft OneDrive |
|
文書作成・表計算 | Microsoft Word Microsoft Excel |
――社内コミュニケーションのツールとしてチャットとGaroonのメッセージを併用する上で、使い分けるポイントはありますか?
小人数やチームで気軽な連絡をするとき、すぐに返事がほしいときはチャットを使います。一方、長文の場合やきちんと記録を残しておきたい場合はGaroonのメッセージを利用します。
――Microsoft 365にもさまざまな機能が搭載されていますが、Garoonも使い続けているのはなぜですか?
一言でいうと、Garoonには使い続けるだけの価値があるからです。私たちが感じているGaroonの強みは操作が非常に分かりやすいことです。日本企業の業務の進め方や習慣を研究して作られているのかな、と思います。操作が分かりやすいことで、従業員教育やマニュアル作成、サポートデスクに伴うコスト負担が軽くなるので、当社のように小規模な拠点が多い企業や中堅企業に適したサービスだと感じています。ユーザーだけでなく管理者にも易しく、サービスや機能を使いこなすのに多くのスキルを求められないのも継続利用している理由です。
Microsoft 365のようなスイート製品に一本化するか、ベストオブブリード(業務最適化を目指して複数製品を組み合わせること)を目指すか、各企業で考え方は分かれると思います。Microsoft 365で必要な機能が揃っていると考える企業は一本化する手もあるでしょう。しかしワークフローと掲示板の存在、Garoonの社内浸透状況を見ると、Microsoft 365にうまく一本化するのは困難に思えました。そのためスイート製品に完全に移行するのではなく、ベストオブブリードを狙ってGaroonとMicrosoft 365を併用しています。
――ベストオブブリードのアプローチにおいてユーザー管理の手間やセキュリティの心配はありませんか?
ユーザー管理の観点ではIDaaSを活用しています。Garoonとkintoneを含む各サービスはOneLoginと連携させているので、Microsoft 365やServiceNowといった他サービスとシングルサインオンできます。2022年2月にサイボウズのクラウドサービスもSCIMに対応したので、ユーザープロビジョニングの利用を検討したいと考えています。
セキュリティの観点でもIDaaSは非常に有用です。管理者やユーザーがGaroonやkintoneを安心して利用できるように、IDaaSの機能を利用して、社外からログインするときに多要素認証を強制し、外部からの不正アクセスを防止しています。ユーザーはIDaaSに一度ログインすれば連携しているサービスにシングルサインオンできるので、覚えないといけないパスワードが減りますし、サービス間の移動が楽になるので複数のサービスをストレスなく利用できます。IDaaSを利用することでセキュリティの強化とユーザーの利便性を両立できています。
――複数のツールを併用するときのコストについてはどのようにお考えですか?
コストというと悪いものと考えがちですが、お金をかけてしっかり成果を出すという考え方をしています。以前グループ会社に出向しているときに、売上に占めるIT支出の割合のベンチマークとして、国内外の企業と比較したことがあります。業種にもよりますが、当社を含め国内の一般企業はIT支出が少ない傾向にありました。そういった経験もあってIT支出が特段多いとは考えていません。コスト=悪ではなく、お金をかけてしっかり成果を出すことを目指しています。会社としても新しいことへの挑戦を応援する意識が強いので、社風にも助けられています。
INDEX.03 活用方法②
kintoneの情報をGaroonポータルに表示しセットで利用
――Garoonとあわせてサイボウズのクラウドサービス kintoneもご利用いただいています。kintoneはどのようにご利用ですか?
営業部門では引き合い管理や営業報告などに利用しており、管理部門では社用車や給油・ETCカードなどの物品・資産の管理など広範囲に利用しています。直近では通勤許可証の申請をkintoneアプリにしました。スマートフォンでもモバイルアプリから簡単に写真を添付できるので便利です。
――kintoneアプリはGaroonと連携させていますか?
kintoneの情報をGaroonのポータルに表示しています。たとえば車両は車検期限の管理が必要なので、kintoneアプリの一覧をポータルに表示して注意喚起しています。
INDEX.04 今後の展望
チャットボット連携やプラグイン活用も目指す
――Garoonやkintoneの活用について、構想中のものはありますか?
Garoonのポータルに配置できるチャットボット(RICOH Chatbot Service)が見つかったので、Garoonでチャットボットの活用を始めました。GaroonのHTMLポートレットを作成し、既存のポータルに配置するだけで簡単に導入できました。チャットボットで定型の問い合わせ対応を効率化して、社員の利便性向上につなげたいと考えています。
今後は、プラグインを使ったGaroonのワークフローとkintoneアプリの連携も検討したいです。ガルキンワークフロー連携プラグインとCROSSLink Grワークフロー連携 by kintoneが利用できそうだと感じています。
kintoneはプラグインが豊富で、比較的安価に利用できるものも多いので、プラグインをうまく活用して業務効率の向上を図りたいです。Garoonもkintoneのようにさらにプラグインが増えると、より活用しやすくなって嬉しいですね。
――サイボウズとしてもプラグインの拡充には力を入れていきたいと考えていますので、励ましのお声をいただけて光栄です。本日はありがとうございました。
INDEX.05 詳しい使い方
ワークフロー・掲示板・Web会議連携・ポータル・kintone
ワークフローで申請や社内稟議を電子化
複数拠点をまたいだやりとりをスムーズに
出張や物品購入の経費申請、人事制度に関する申請、事故報告、社用資産の取得申請など、社内のさまざまな申請や稟議をワークフローで電子化。複数拠点をまたいだやりとりをスムーズにしています。
申請者の事業部に応じて適切なルートで申請できるよう、経路分岐を設定している申請フォームもあります。
各部署から社内への連絡は掲示板を活用
新入社員の自己紹介などでも幅広く活用
各部署から社内への連絡は一斉メールではなくGaroonの掲示板を使っています。
新しい社員が入社したときは、掲示板で自己紹介を書きます。他の社員がリアクション機能で投稿に「いいね!」をつけて反応してくれたりコメントを書き込んでくれたりするので、社内での交流が進みます。
プラグインでTeamsと連携
スケジュールの二重管理やWeb会議参加の手間を削減
GaroonとTeamsを連携させるプラグイン「CROSSLink 365 Teams連携」を使うことで、Garoonのスケジュール上でTeamsのWeb会議を作成したり、外部の人をメールで招待したりできます。スケジュールの機能「予定メニュー」を使った連携で、予定メニュー「Web会議(Teams連携)」を選んで予定を登録すると、Teamsにデータが接続され、Teamsと連携した予定がGaroonに登録されます。Web会議の参加URLはGaroonのスケジュールにボタンとして表示されるので、ワンクリックでWeb会議へ参加できます。
新規拠点立ち上げや安全に関する社内周知でポータルを活用
必要な情報を集約して一画面で見られるように
新規拠点を立ち上げるときは(一時的に)新しいポータルを作り、掲示板、ファイル管理、スケジュール、ガントチャート(タスク管理)を配置しています。各自のタスクや進捗状況を把握できるように、kintoneプラグイン「KOUTEI」を利用してガントチャート形式で表示しています。
「安全衛生委員会ポータル」では、SharePointに保存したExcelをGaroonのHTMLポートレットに埋め込んで、無事故日数を表示しています。Excel上で自動計算された日数が表示されるので、毎日手動で更新する手間を省けます。
車両台帳など各種管理にkintoneを利用
デヂエから移行後、kintoneならではの機能やプラグインを活用
2014年からGaroonとあわせてサイボウズのクラウドサービスkintoneを使っています。営業部門、管理部門問わず利用しており、管理部門では社用車の車両台帳、従業員の運転免許証の確認管理、通勤許可証の申請などに利用しています。
kintoneを使い始めたきっかけはデヂエからの移行です。2014年当時は、成熟した製品であるデヂエから新しいサービスであるkintoneへの移行でもあり、正直なところ画像ファイルの移行やデータの再ルックアップ、機能差異に苦労しました。ただ、使っていく中で、レコード内にテーブルを作る機能のようにkintone独自の機能が便利だと感じるようにもなりました。特定の条件に一致した項目に色を付けるなど、プラグインを使ったカスタマイズができるのもkintoneならではですね。
デヂエからkintoneへの移行では苦労もありましたが、kintoneは多くの企業で利用実績があるクラウドサービスなので、定期的なアップデートで機能や使い勝手がどんどん改善されています。サードパーティーのプラグインも続々と登場しているので、今後も期待が持てます。
デヂエからkintoneへのデータ移行は作業をサイボウズオフィシャルパートナーに委託できます。詳細は「サイボウズ デヂエ8販売・サポート終了に関するお知らせ」をご覧ください。
取材日 2022/06/27
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