- 業種
- 製造
- 都道府県
- 東京都
- 利用人数
- 1200名
- 形式
- クラウド版
- 導入前の利用製品
- 自社開発グループウェア
駅やビル、学校や病院などあらゆる建築物に欠かせない電設資材のメーカーとして、国内トップクラスのシェアを誇るネグロス電工株式会社(以下、ネグロス電工)。同社では2018年に、それまで約13年利用していたグループウェアを、クラウド版Garoonにリプレースした。風通しのよい職場づくりにGaroonでのコミュニケーションが貢献している。
グループウェア選定・活用プロジェクトの中心メンバーである ネグロス電工 取締役 総務部長 小森功雄氏、情報システム部 部長 杉﨑正夫氏、情報システム部 システム二課 課長 平野信泉氏、情報システム部 システム二課 主事 加賀美涼子氏の4名にお話を伺った。
INDEX.01 導入前の課題
自社開発グループウェアの課題は
「社外アクセス」と「メンテナンスコスト」
電気工事に欠かせない電路支持材の総合メーカーであるネグロス電工。特に電線ケーブルの配線で使われる「ケーブルラック(送電用・通信用ケーブル類の配線ルートを確保・整理するラック)」では国内で圧倒的なシェアを誇っており、電気設備業界でなくてはならない企業だ。
「駅のホームで上を向くといろんな配線を支えているハシゴ状のものがあるでしょう。あれが私どもの製品です。駅だけではありません。商業ビル、工場、病院、学校など、電気配線が必要なあらゆる場所でネグロス電工の製品が使われています。みなさんが知っている建物にもなんらかの形で関わっていると思いますよ」(取締役 総務部長 小森氏)
あらゆる建築物を縁の下で支えるネグロス電工だが、社内の情報共有に利用していたグループウェアに課題があった。
「以前のグループウェアは13年前に自社開発したものでした。スケジュール、掲示板、社内メール、電話メモなど一通りの機能はそろっていましたが、社外アクセスができないので、営業など外出が多い社員には使いづらかったんです。またブラウザのバージョン対応などメンテナンス工数もかかっていました。社内のSEには今後基幹系システムの方に注力して欲しい思いもあったので、なるべく管理の手間を減らしたいと思っていました」(情報システム部 部長 杉﨑氏)
自社開発のグループウェアは細かい要望に対応できるメリットがあったものの、社外から利用できない点と管理コストが課題になっていた。そこで同社では2017年にクラウド型グループウェアへの移行プロジェクトを発足。全社で検討を開始した。
INDEX.02 導入の決め手
100人で製品テストを実施。
操作性や拡張性を総合的に評価
グループウェア導入プロジェクトでは各本部から代表者を集め、全社横断のチームを立ち上げた。
「情報システム部だけで進めてしまうとユーザーの考えや思いが伝わりにくくなってしまうので、各本部から人を集めてプロジェクトを組み、要件の洗い出しから製品選定まで全員で進めました。部署横断のプロジェクトということで取締役の小森にリーダーになってもらいました」(システム二課 課長 平野氏)
プロジェクトメンバーは12人。クラウド型のグループウェアを3社検討した。当初の課題だった「社外アクセス」「管理の手間の削減」はクラウドにすることでいずれもクリアできたが、製品選定の議論はかなり紛糾した。
「部門によって重視する機能やポイントが違っていたので、意見が大きく分かれました。最初にプロジェクトメンバーで製品投票した時は、2製品で半々に票数が分かれました。投票後は各本部で使用感をテストし詳細に検討を重ねました」(加賀美氏)
製品テストはプロジェクトメンバー以外の社員も加わり、社員1200人中総勢100人で実施した。
「各アプリでテスト項目を決めて実際に社員のみなさんに操作してもらいました。例えば『掲示板に投稿する』『それに対してコメントする』など各アプリ3、4項目ずつ設定しました。デザイン面や画面遷移の回数も含めてかなり慎重に吟味したと思います」(加賀美氏)
テスト後に一人ひとりの意見をリストアップして再度議論し、2017年の8月にGaroonの導入が決定した。選定の決め手になった一つのポイントは「双方向のコミュニケーション」だった。
「例えばGaroonの掲示板では、掲示に対して他の社員がコメントできますよね。一方通行ではなく双方向のコミュニケーションができる点が、私たちの会社に合っていると思いました。そのほか機能やデザインも従来のグループウェア環境を踏襲していたので使いやすいだろうと。操作性や使い勝手の良さ、将来的な拡張性を評価しGaroonの導入が決まりました」(平野氏)
INDEX.03 導入効果
「Garoonのおかげで風通しがよくなった」
会社の風土づくりに貢献
「セキュアアクセス」で安全に社外アクセス。「スケジュール」から利用を開始。
2018年2月からクラウド版Garoonの運用を開始したネグロス電工。クライアント証明書によって接続元を認証する「セキュアアクセスオプション」の利用で、社外からも安全にアクセスできるようになった。
「レスポンスは確実に早くなったと思います。意思決定のスピードが格段に上がりました」(平野氏)
またバージョンアップやブラウザ対応などはすべてサイボウズが対応するため、保守メンテナンスの手間も大幅に削減。これによって情報システム部のメンバーは、機能の活用のみに集中できるようになった。導入後は、まずスケジュールなどの基本機能から使い始めた。
「スケジュールは全員、原則公開設定で入力しています。社長のスケジュールも半分以上が公開されていて、予定が空いていれば誰でも自由に登録できます。社長の予定を入れるときは出欠管理をONにしておいて、社長がOKの場合は『出席』で回答するルールにしています」
旧グループウェアでは他人のスケジュールは閲覧も登録もできなかったため、電話やメールで日程調整をしていた。Garoonでは自分以外の予定が閲覧・登録できるようになり大きく効率化できたそうだ。
「電話やメールで相手の予定を確認する手間がなくなり、だいぶ楽になりました。Garoonのスケジュールを見ればいつ空いているかわかりますし、相手の予定も登録できます。またちょっとしたやりとりはコメントで行えるところも効率化につながっていると思います」
ポータルもいくつか作成した。コンプライアンス情報をまとめた「コンプラ通信」、安全衛生やBCP関連の情報をまとめた「安全衛生・BCP」、会社の歴史をまとめた「博識館」などがある。標準ポートレットとHTMLポートレットを組み合わせて作成した。
「運用プロジェクト」でポータルの活用をさらに推進
導入から4ヶ月ほど経った2018年の6月ごろ、平野氏と加賀美氏が中心となって「Garoon運用プロジェクト」を立ち上げた。
「もっとGaroonを使いこなそうと新たにプロジェクトを立ち上げました。導入のときと同じように、ユーザーの声を聞きながら進めたかったので全社横断のプロジェクトにさせてもらいました。活用を考えるプロジェクトなので、普段から実務をやっている若い社員の意見を聞いた方が良いだろうと、メンバーも一新しました」(平野氏)
各部から22人のメンバーが集まった運用プロジェクト。導入プロジェクトの時に比べると平均年齢は10歳くらい若返ったそうだ。
「まずそれぞれの部でアンケートを取ってもらって、現状どのような問題点があるか、業務効率を上げるために何ができるかを話し合いました。そこで出た意見を集約して3つのテーマを決めました。それが『社内コミュニティ』『社内ヘルプサイト』『ワークフローの推進』です」(加賀美氏)
3つのテーマを実現するために利用したのがGaroonのポータルだ。まず「社内コミュニティ」については「ねぐたいむ」というポータルを作成し、毎月更新することにした。社長訓話や部活紹介、その月に入社した社員紹介が掲載されている、言ってみれば電子版の社内報だ。
「主に入社3-5年目の社員をターゲットに発信しています。現在ネグロス電工には1200人ほど社員がいますが、どんな部や部活があるのか知らない人が多いんです。勤務している営業所や工場が違うとなかなかつながりがないので。ねぐたいむを使って社内の情報を発信することで『自分の会社はこういう会社なんだ』と知って欲しいと思っています」(平野氏)
ねぐたいむはHTMLポートレットを使って作成している。写真や紹介用のコメントを毎月社内から集め、加賀美氏がHTMLやJavaScriptを駆使し、見栄えを整えている。このように会社の情報を発信する活動を取締役の小森氏も歓迎している。
「非常に好ましい活動だと思います。我々のような社歴が長い社員はネグロス電工の良さは体にしみついてますが、若い世代は他社と比較して『うちの会社どうなんだろう?』と考える人もいます。やはり自分の会社が好きでないと良い仕事はできませんよね。Garoonを使って社内に情報発信することで『うちの会社ってこんな良いところがあるんだな』と思う人が増えていけば、仕事的にも良い方向に向かって行くと思います」(小森氏)
2つ目の「社内ヘルプサイト」もポータルで作成中だ。単なる機能の説明ではなく「ユーザーがやりたいこと」をベースにしたヘルプサイトを目指している。
「例えば『メッセージを転送したい時はどうしたらいいか?』などの具体的なシーン別に解決方法を載せています。旧グループウェアでは社内の連絡を『社内メール』で行なっていましたがGaroonでは『メッセージ』を使います。『メッセージ』はメールと考え方が違うので、転送機能がなかったりCCやBCCの概念がなかったりと違いがあり、ユーザーが戸惑うことがあります。そういった困りごとに対して、『メッセージを転送したいときは、テキストに出力してから新規メッセージに貼り付けをしてください』などの案内を載せています」(加賀美氏)
3つ目の「ワークフローの活用推進」については、ワークフロー化に適した業務を見つけるための診断チャート、各種申請へのリンク集をまとめたポータルを作成している。ここをみれば「自分の業務の中で電子化できるものはないか?」とユーザー自身が考えることができる。「もっとGaroonのワークフローをみなさんが使ってくださるといいなと思っています」と加賀美氏は話す。
ワークフローについては運用プロジェクトが立ち上がる前から活用している業務もあった。
「稟議申請や、各部署への依頼申請(システム開発依頼やパソコン・ソフトウェア導入申請)など、導入時に紙ベースだった申請をいくつかワークフロー化しました。旧グループウェアですでに電子化していた申請もGaroonのワークフローに移行しました。社外からも利用できるので以前よりも申請から承認のスピードは早くなりました」(平野氏)
社内コミュニケーションは「メッセージ」「スペース」「掲示板」に集約
「運用プロジェクト」を通してGaroonの活用が大きく進んだネグロス電工。プロジェクトのやりとりを含め、社内のコミュニケーションはメッセージ、スペース、掲示板を使い分けている。
「プロジェクトのように長く続くものはスペース、単発で終わるちょっとしたやりとりはメッセージ、全社に向けてのお知らせは掲示板、と使い分けています。スペースは100以上ありますね。用途は特に制限していません。部活や社員同士の旅行などのコミュニケーションにも利用されています」(平野氏)
旧グループウェアでは、社内コミュニケーションに「社内メール」を利用していたが、スペース、メッセージや掲示板でやりとりをするようになったことで、社員同士がより気軽に連絡を取り合えるようになった。
「『あの件メッセージ送るので』『スペースに載せますね』といったやりとりは日常的に聞こえるようになりました。人と人との繋がりは多くなったように思います。メールだとどうしても硬くなりますが、気軽に、チャットのような感覚で使えています」(平野氏)
運用プロジェクトの活動やGaroonの利用を通じて、社内の雰囲気の変化を小森氏は感じているという。
「以前よりも風通しが良くなったことは間違いないですよ。以前は何かを変えたい、効率化したいと思ってもそれを実現する方法がなかったんです。でもGaroonの運用プロジェクトを通じて、自分の意見が会社に反映されるのを見ると、こういうやり方があるんだと気づいてもっと協力しようという気持ちになります。良い方向に向かっていると思いますよ」(小森氏)
INDEX.04 今後の展望
社員同士が気軽にコミュニケーションをとれる環境を
Garoonで作りたい
導入から運用まで全社プロジェクトとして推進してきたネグロス電工。今後は社外アクセスの利用を広げ、より多様な働き方に対応したいと小森氏は話す。
「現在、社外からGaroonにアクセスできるのは営業など一部の社員のみですが、今後は他の社員にも利用を広げたいと思っています。在宅勤務ができれば通勤にかけていた時間を有効活用できますし、交通費も節約できます。社員のさまざまな事情、ライフプランにも対応しやすくなるでしょう。社内のIT化をもっと進めて多様な働き方が実現できるようにしたいと思っています」(小森氏)
運用プロジェクトは2019年の夏に一旦解散を予定しているが、その後は委員会として新たなスタートを切るそうだ。
「こういうツールは入れた後が大事なんですよね。フォローしないと使われなくなってしまいます。運用プロジェクトでは若い世代が意見を出し合って進めてくれて、社内のコミュニケーション基盤になっています。ぜひ今後も委員会としてこの活動を続けてもらいたいと思っています。ポータルの管理も今は加賀美一人体制ですが今後は増員する予定です」(杉﨑氏)
今後はGaroonを社内のコミュニケーションの場として育てていきたいと平野氏は話す。
「今までのグループウェアはただの情報発信、ただの連絡、ただの資料格納ツールでしたが、Garoonでは双方向のやり取りの場があるのが非常に良いと思っています。Garoonを使って社員同士がどんどんコミュニケーションをとってより活発な意見を出せる会社になればと思っています。他愛のない話でもいいので社員同士がつながるきっかけになればと思っています」(平野氏)
ネグロス電工様のグループウェア導入プロジェクトについての詳しい記事はこちら
https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1904/01/news005.html
取材日 2019/02/01
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