- 業種
- サービス
- 都道府県
- 東京都
- 利用人数
- 230名
- 形式
- クラウド版
- 導入パートナー
- 株式会社 USEN Smart Works
株式会社山下PMCは、建築におけるプロジェクト・マネジメント、コンストラクション・マネジメントのリーディングカンパニーです。事業主の立場で、事業を創造する企画から施設の建設・運営段階に至るまで、プロジェクトを一気通貫で推進していく役割を担っており、コンストラクション・マネジャーや一級建築士の資格をもつ専門家を中心に約220名の従業員が在籍しています。
社内の情報を集約する場所としてGaroonを導入された経緯や、サイボウズの業務アプリ開発プラットフォーム kintoneとの連携を含む活用について、事業統括本部 事業統括部の西村 貴裕さんと稲葉 美香さんにお話を伺いました。
INDEX.01 導入前の課題
「全社ポータル」と「kintoneとスケジュールの連携」の
早期リリース
――山下PMC様について簡単に教えてください。
山下PMCは建設をコアとするマネジメント企業です。メガプロジェクトを中心にさまざまな施設を手がけ、プロジェクトの上流から参画することで、お客様の事業戦略につながる施設戦略の提案・実行できる点が我々の強みです。一級建築士の有資格者などを中心とする建築の専門家約220名が在籍していますが、プロジェクトの上流工程から施設づくりに関わりたいという社員が多いですね。
――約220名の社員が在籍され、それぞれが異なるプロジェクトに関わるとすると、扱う情報も多種多様かと思います。社内の情報共有にはグループウェアを利用されていたと伺いましたが、Garoonに移行する前はどのような課題があったのでしょうか?
まず社内ポータルに課題がありました。山下PMCでは勤怠管理、経費精算、原価管理、名刺管理などさまざまなシステムを使っています。しかしそれらのシステムの入り口がバラバラで使いづらく、不満の声が上がっていました。ここ数年は社員が急激に増えており、次々と新しい社員が入社しています。彼らのためにも社内のシステムや情報を整理するポータルが必要でした。
Garoon導入前に利用していたグループウェアでは簡単なリンク集しか作れず私たちが作りたいポータルとはほど遠いものでした。もっと見やすく「ここを見れば社内の情報がどこにあるかわかる」という場所を作りたかったのです。
――Garoon導入前にkintoneをすでにご利用いただいていました。kintoneについて課題はありましたか?
kintone(※)ではすでに多くのアプリを運用していました。その中で工数管理に利用している「業務日報アプリ」をグループウェアのスケジュールと連携したいと思っていました。「業務日報アプリ」には社員がどのプロジェクトに何時間使ったかを毎月入力するのですが、スケジュールと連携すればもっと効率よく入力できると考えたのです。
※kintone:サイボウズの業務アプリ開発プラットフォーム。業務に合わせたシステムをすばやく作成運用できる。
――導入検討から運用開始までのスケジュールがタイトだったと伺いました。
全社ポータルの作成と「業務日報アプリ」のスケジュール連携の話が持ち上がったのが2020年8月、本格的に着手したのが10月だったのですが、2021年の4月には本格稼働を開始する必要がありました。約半年という短期間でリリースを完了させることも課題の1つでした。
INDEX.02 導入の決め手
kintoneとの親和性を優先し
サイボウズのGaroonを選択
――どのように製品選定を行いましたか?
約半年で運用開始する必要があったため、すでに利用していたkintoneとの親和性が決め手になりました。サイボウズ製品を前提に検討する中で、Garoonならポータルやスケジュールなど必要な機能がそろっていますし、APIが用意されているのでカスタマイズやkintoneとのデータ連携もやりやすいと考えました。
また、kintoneのユーザー情報がそのまま使えシームレスにアクセスでき、画面デザインなどの使い勝手が似ていることも重要でした。使い慣れたkintoneと操作感が似ているツールなら社員も抵抗なく利用開始できます。山下PMCは社員の年齢層が幅広いため直感的で使いやすいことが求められていました。
さらに、kintoneのカスタマイズや運用を委託している有限会社リズムタイプ様がGaroonのカスタマイズに対応できることもポイントでした。新しく開発パートナーを探す必要がなく、プロジェクトが立ち上がってからすぐに詳細要件の検討に入れました。
このような背景から「全社ポータル」と「kintone連携」を早期にリリースするためにはGaroonが最適だと思いました。
――他の製品も検討されましたか?
Microsoft 365を利用しているのでSharePointでポータルを作成し、Outlookとkintoneを連携させる方法もあったかもしれません。しかし早期にリリースできる点や、使いやすさの点でkintoneとの親和性が高いGaroonを使う方が良いと考えました。
また当初は、ポータル構築やスケジュール管理もすべてkintoneで実装することも考えました。しかし細かい要件を検討する中でkintoneだけでは機能がマッチしないとわかり、Garoonを利用した方が良いという結論になりました。
INDEX.03 導入効果
「ここを見ればわかる」全社ポータルが完成、
kintone連携により工数管理の負担が半減
――導入前の課題だった全社ポータルの構築はできましたか?
社内システムや資料へのリンクをまとめたポータルを作成しました。HTMLを利用して社外向けの企業サイトとデザインを合わせ、社員が見やすいように工夫しました。
これまではバラバラになっていた社内システムの入り口を1ヶ所に集約し「ここを見に行けば社内システムへアクセスできる」場所を作ることができました。新しく入社した社員も必要な情報がどこにあるかすぐに把握できるようになりました。
――もう1つの課題だったkintone連携についてはいかがですか?
工数管理に利用している「業務日報アプリ」とスケジュールを連携するカスタマイズを実装しました。これによって社員が工数入力する手間を大幅に削減できました。
山下PMCではどのプロジェクトに何時間使ったかの工数をkintoneの「業務日報アプリ」に入力して工数管理しています。以前は「業務日報アプリ」と旧グループウェアのスケジュールを目視で照らし合わせながら、いつどのプロジェクトの作業を何時間行ったのか、ひとつひとつkintoneに入力していたため非常に手間がかかっていました。多くの社員は月末にまとめてその作業を行うため、関わるプロジェクトが多い場合は1-2時間かかってしまう人もいました。
今回Garoonとkintoneをカスタマイズして「業務日報アプリ」からワンクリックでその月のスケジュールデータを取り込めるようになりました。またGaroonで予定を登録する時にkintoneで管理しているプロジェクトコードと予定を紐付ける機能も入れました。
これにより現在は「業務日報アプリ」で「Garoonスケジュールの取り込み」ボタンを押すだけで工数入力できます。スケジュールにプロジェクトコードが紐付けられているので、どれがどのプロジェクトかを確認する手間も省けます。工数入力にかかる時間は大幅に短縮され、体感としては作業負担が半分くらいになりました。特に複数のプロジェクトに関わる人は楽になったと思います。
――Garoonとkintoneの連携で、工数入力の手間が削減できたのですね。カスタマイズの実装はスムーズに進みましたか?
2020年8月に本格検討を開始した頃、サイボウズの導入相談カフェで今回やりたいことを相談しました。この段階で要件を整理できたことでその後の実装がスムーズに進んだと思います。2020年12月 までに細かい機能のFit&Gapを検討、2021年の1月からカスタマイズの実装や運用プロセス定義を行い、2021年4月から全社で本運用を開始しました。予定通り短期間で運用開始でき、ほっとしています。
――旧グループウェアからGaroonへのデータ移行はどのように行いましたか?
旧グループウェアからはスケジュールと掲示板のデータを移行しました。あまりデータが多くなかったので、大きなトラブルもなく移行できました。以前から全社でkintoneを使っていたので、ユーザー情報を設定せずに済んだのも大きかったですね。サイボウズ製品でなければ大変だったかもしれません。スケジュールや業務日報の入力方法など、多くの問い合わせが想定される部分については、マニュアルを作成しました。Garoonのファイル管理で共有し、いつでも参照できるようにしています。
――現在Garoonやkintone、Microsoft 365などさまざまなシステムをお使いかと思います。使い分けの方針はありますか?
まず大まかに、総務や経理などのコーポレート関連の情報共有はサイボウズ製品で、お客様とのプロジェクトに関わる資料作成やコミュニケーションはMicrosoft製品で行うようにしています。
サイボウズ製品の中では、分析や集計などデータ活用が必要な業務はkintoneで、それ以外はGaroonでという方針がありますが、担当者が使いやすい方を柔軟に選べるようにしています。社内ではGaroonかkintoneかを意識せず使っている人も多いですね。Garoonに関する問い合わせが来たと思ったら実はkintoneの問い合わせだった、なんてこともよくあります。
INDEX.04 今後の展望
外部システムとのさらなる連携と
業務のシステム化の推進
――今後実装したいカスタマイズや連携機能はありますか?
まずGaroonのスケジュールと勤怠管理システムを連携したいと思っています。それができれば、勤怠管理、スケジュール、工数管理が一元的に管理でき、さらに効率化を図ることができると思っています。また山下PMCで提供している施設管理サービス「b-platform」との連携や、Microsoft 365とのユーザー情報の共通化も強化していきたいです。
――外部システムとの連携強化でさらに使いやすくなりそうですね! 社内の情報共有に関してはいかがでしょうか?
Garoonのポータルを活用して部署間の情報共有をさらに進めていきたいです。今回全社ポータルを作成したことで、部署同士の取り組みが以前よりも見えやすくなり、他部署の取り組みを見た管理部門から「kintoneで名刺発注依頼アプリを作れませんか?」「契約書管理アプリを作りたいです」といった問い合わせが増えてきました。ポータルでの情報発信がkintoneを活用するきっかけとなり、各部署の業務効率化につながっています。
旧グループウェアから比べるとライセンス費用は上がりましたが、増加した費用以上の効果を感じています。今後は、たとえば各部署のアウトプットや検討中の企画をポータルに集めて共有するなど、お互いの仕事が見える化をさらに推進していきたいです。
INDEX.05 詳しい使い方
kintone連携・スケジュールカスタマイズ・ファイル管理
kintoneとスケジュールとの連携
kintoneの業務日報アプリとスケジュールを連携。
スケジュールを入力しやすくするポータルカスタマイズも
kintoneとGaroonの連携の詳細は以下の通りです。
まずプロジェクトに関する予定を入力するときは、Garoonに作成した「業務日報ポータル」を使います。ポータルに表示された独自のスケジュールビューをダブルクリックすると専用の登録画面が開きます。ここで予定の時間、タイトルとともに、プロジェクトコードを入力します(このプロジェクトコードはkintoneに作成した「プロジェクト管理アプリ」と連携しています)。登録が完了すると、Garoonのスケジュールにプロジェクトコードと業務日報タグが付与された予定が作成されます。
※業務日報タグはカスタマイズによって独自に設定しているものです。
月末に工数登録をするときは、kintoneで「業務日報アプリ」を開き、「Garoonスケジュールを取り込み」ボタンをクリックします。すると業務日報タグが付与されたその月の予定が自動で取り込まれます。プロジェクトコードも付与されているので、工数入力がワンクリックで完了します。もちろん、入力漏れや不備があったら手動で修正も可能です。
具体的なシステム構成は以下のようになっています。Garoonのポータル、Garoonスケジュール、kintoneの業務日報アプリにそれぞれJavaScriptカスタマイズを実装しています。
スケジュールに経費精算や日報提出の締め切りを表示
全社共通の予定をスケジュール上に表示してリマインド
GaroonのスケジュールにJavaScriptカスタマイズを実装し、経費精算や日報提出の締め切りをスケジュールに表示しています。表示内容や条件はJavaScriptファイルの中に記述しています。
ファイル管理でマニュアルや社内規程を共有
社員が共通で使うファイルをいつでもすぐに見られるように
マニュアルや社内規程はGaroonのファイル管理に格納し、社員から問い合わせが来たときは、ファイル管理のURLを案内しています。Garoonのポータルやスペースでファイルを共有するときもファイル管理のURLを記載します。ファイルを直接添付すると、内容が更新されたときに修正が難しくなりますが、URLを案内しておけばファイル管理のファイルで更新するだけで常に最新の情報を共有できます。
主な活用機能
取材日 2021/10/01
導入パートナー企業