- 業種
- 医療福祉
- 都道府県
- 東京都
- 利用人数
- 150名
- 形式
- クラウド版
- 導入前の利用製品
- サイボウズ Live
- 導入パートナー
- 株式会社大塚商会
東京聴覚障害者福祉事業協会は、聴覚障害者向けの支援事業を行う組織です。ろう重複者のための施設・グループホームの運営、障害児のための学童クラブ、手話通訳者や要約筆記者の派遣・養成サービスを行っています。
同協会では、都内4拠点・職員150名が利用するグループウェアとしてクラウド版 Garoonを採用、そしてWeb会議ツールとして「Video会議室 for Garoon」プラグインも導入しました。その経緯や導入効果について、法人本部事務局 財務・IT・研修担当 課長の原田 洋行さんにうかがいました。
INDEX.01 導入前の課題
聴覚障害があるから、文字で情報共有できるツールが必要
――Garoon導入の経緯について教えてください。
聴覚障害をお持ちの方に向けたサービスを提供していることもあり、 当協会には耳の聞こえない職員が多く在籍しています。音声コミュニケーションだと、どうしても情報が抜け落ちてしまうことがあるので、文字で情報共有ができるツールを探していた時に「サイボウズLive」を見つけて使い始めました。同ツールでは日程調整や掲示板での情報共有、プロジェクトの進捗管理などを行っていました。2019年にサイボウズLiveが終了することになったので、使い勝手が似ているサイボウズの製品から次に利用するツールの検討を行うことになりました。
また、協会全体でIT化の流れがあり、紙の稟議書に捺印をもらうプロセスを電子化するという要件もありました。事業所はシフト勤務ですし、派遣されて外出する仕事もあるので、紙だとどうしても申請が途中で止まってしまいます。そのため、申請が承認されるまで1週間程度かかる点が課題でした。
INDEX.02 導入の決め手
サイボウズLiveから移行しやすく
ワークフローによる申請の電子化も可能
――導入の決め手を教えてください。
これまで使っていたサイボウズLiveと使い勝手が同じものが良かったので、サイボウズ製品の中で検討しました。Garoonは特にサイボウズLiveと見た目の印象が近く、その点が決め手になりました。テキストでの情報共有ができる点が重要でしたが、チャットサービスと比べても、情報が流れてしまうことがなく、後から探しやすい点はサイボウズ製品のメリットです。紙の稟議を置き換えるという要件も、Garoonのワークフローで満たせました。価格面については、社会福祉法人なのでアカデミック/ガバメントライセンスの適用対象となり、安価なプランで導入できました。
――導入はスムーズにできましたか?
皆、サイボウズLiveの終了は知っているのでGaroonの導入は当然の流れとして受け入れてくれました。同じ会社のサービスですし抵抗感はなかったように思います。Garoonの各機能の設定や、当協会の業務に特化したマニュアル作成は、サイボウズのパートナー企業である大塚商会様にサポートいただいたので、導入のための作業は問題なく進められました。当時作ったログイン方法などをまとめた資料は、今でも新入社員への最初の説明で利用しています。
操作については、Garoonは視覚的に分かりやすく直感的に操作ができるので、使い方で困ったという話はありませんでした。管理者の立場として、強いて言えば権限設定で苦労しましたが、今はもう慣れました。許可リスト形式(GRANT)と禁止リスト形式(REVOKE)の両方で権限設定を考えられるので便利に感じています。
INDEX.03 導入の効果
Web会議プラグインによるテレワーク推進、
電子化による稟議の高速化
――Garoonではどの機能を使っていますか?
スケジュール、掲示板、ワークフローなどほぼ全ての機能を使っています。また、プラグインも複数導入し、機能を拡張しています。導入後に気づいた点ではありますが、拡張性はGaroonの特長だと感じます。
――Web会議のプラグイン「Video会議室 for Garoon」も活用されていると伺いました。
Video会議室 for Garoonで、Web会議が気軽にできるようになりました。Garoonのスケジュールから簡単に起動でき、会話内容を字幕で表示してくれます。手話は前後の空間を使うので、画面ではフラットになり見えにくい時もあります。また唇の形も読み取るので、マスクをしていると動きが見えません。こうした制約がある中で、字幕が情報の一つとして助けになります。後から内容を確認する時に字幕の文字情報が残っている点も便利ですね。
Video会議室 for Garoonでは同時に起動できる会議室数の上限を気にする必要はないため、他のユーザーとの予定の重複などは考えず気軽に利用できます。管理者としても、プラグインなので簡単に導入・設定できました。
Video会議室 for Garoonに関する詳しい事例記事はこちら
――テレワークや在宅勤務への効果はありましたか?
事務所勤務の職員は週に1〜2日は在宅勤務です。Garoonの個人メモに在宅勤務で使うデータを貼っておくことで、場所を変えてもスムーズに業務ができます。不在時に電話を受けた方が電話メモを残したり、Video会議室 for Garoonで短時間の顔の見える会議を頻繁にしたりしています。
――紙の稟議について、Garoonのワークフローに置き換えた効果はありましたか?
ワークフローは費用の精算・交通費生産・起案・押印申請などに利用しています。これまでの紙の稟議では承認まで1週間ぐらい必要でしたが、2〜3日で承認されるようになりました。Garoonのワークフローならどこでも処理ができるので便利です。
ワークフローはアプリケーション名を「起案・申請」に変更して利用しています。これまでは「起案」と言っていたので、同じものだと認識しやすくするためです。Garoonでは機能名や表記を変更できるので、他の機能も当協会の用語や以前利用していたサイボウズLiveでの表記に合わせています。
――スムーズな利用浸透のための配慮ですね。他にも工夫された点はありますか?
メッセージを「職員間メッセージ」に変更したほか、「いいね!」ボタンも「確認しました」ボタンに変更しました。投稿内容の性質上「いいね!」では合わないこともあります。職員が使いやすいように設定を工夫できるので、以前使っていたツールからの移行もしやすいと思いました。
また、アプリケーション一覧にはSmartHRやOLudeなど、併用しているツールのアイコンを設置しています。他のシステムへの入り口をGaroonに設置できるのも便利でした。
――コミュニケーション面での効果はいかがでしたか?
職員に聴覚障害を持つ方が多いので「文字でのやり取り」が日常です。思いついた時に気軽に文字で情報交換でき、意見交換がしやすくなったと思います。また、新しく入った聴覚障害を持たない職員もGaroonを通じて聴覚障害を持つ方とスムーズに文字でコミュニケーションできます。
一部の掲示板ではコメントが盛んに投稿されています。どの事業所からも投稿できるので「事業所間のコミュニケーションが深まった」という声があります。例えば、「秋祭り」事業の掲示板には、写真や感想、感謝のコメントが多数投稿されています。
INDEX.04 今後の展望
Garoonでの情報共有を通したより良いサービスの提供
――今後Garoonを通じて実現したいことをお聞かせください。
当法人は利用者の生活支援、コミュニケーションの支援を主な事業としています。あるサービスを提供する際に、対象者の情報をどれだけ多く持っているかが、提供されるサービスの質を決める鍵になります。Garoonの利用を通じて、情報をより多く、リアルタイムに共有できるようになりました。この利点を活かし、より良いサービスの提供に向けて努力していきたいと思います。
――最後に今後の展望をお聞かせください。
職員の高齢化や退職もある中で、いかに限られた人数で業務を継続していくか、という点は当協会に限らず課題かと思います。RPAなど様々なシステムやツールを活かし、今までやってきた仕事の効率を上げつつ、人は「人がやらなければならない仕事」にシフトしていくことができれば嬉しいです。
INDEX.05 詳しい使い方
ポータル・掲示板・スペース
全社向け・拠点別ポータルを用意
アクセス権設定で必要なポータルだけが表示される
全社向けのポータルは4つ用意し、法人本部からのお知らせ、全社規定の共有、研修案内、施設予約と使い分けています。全体向けポータルに加えて、拠点別のポータルを用意。アクセス権を設定し、所属拠点に合ったポータルを表示しています。
・ポータル:ポータルのトップ画面:法人本部からのお知らせを掲示
・法人全体共有フォルダ:協会全体の規定などを保存
・研修案内:研修のお知らせを掲示
・会議室ポータル:会議室の予約カレンダーを表示
・各施設のポータル:所属している施設を表示
掲示板をポータルに設置し社報を配信
発信まで2週間必要だった社報がリアルタイム配信に
掲示板を使って、社報「法人ニュース」の発信がリアルタイムにできるようになりました。掲示板のポートレットをポータルに配置しており、Garoonにログインしてすぐに確認できるようになっています。以前は紙ベースで月に1回発行していたので、情報が伝わるまでのタイムラグや誌面レイアウトの手間が課題でした。現在はオンラインでトピックごとに都度発信できるので情報共有のスピードが上がりました。
スペースでプロジェクトの進捗を管理
部署・プロジェクト・役職者などのスペースを作成
部署・プロジェクト・役職者などのスペースを作っています。テーマごとに業務の進捗管理ができます。公開のものと、関係者のみ閲覧できる非公開のものがあります。Garoon導入時に1〜2個のスペースを作って職員にお知らせしたところ、各自が自発的にスペースを作成して使うようになりました。
取材日 2021/12/01
導入パートナー企業