- 業種
- 医療福祉
- 都道府県
- 新潟県
- 利用人数
- 1100名
- 形式
- クラウド版
- 導入前の利用製品
- パッケージ版 サイボウズOffice
医療法人 愛広会は新潟県で病院・介護老人保健施設など大小合わせて62の事業所を運営している大規模な医療法人です。1990年に開設された老人病院に始まり、高齢化社会のニーズに合わせて事業を拡大し、新潟県内全域に施設を持つ、従業員数1,500名超の組織に成長しました。現在では愛広会を含む医療法人3つ、社会福祉法人3つ、株式会社で県内を中心とした医療・介護サービスを展開するグループです。
同グループでは、グループ内の3つの法人がそれぞれでサイボウズOfficeを契約・利用していました。しかしながら、グループウェア運用の効率化やコスト削減の目的で3つのグループウェアを1つにまとめることになり、クラウド版Garoonに移行しました。現在は経営陣・各事業所の管理職・事務職を中心に約1,100人がGaroonで法人間を横断的にコミュニケーションを行っています。今回は、グループウェアの統合にあたりGaroonを選んだ理由、利用方法、導入効果について、医療事業本部 本部長の稲葉 晋さん、総務部の樋口 朗さんと坂西さんにうかがいました。
INDEX.01 導入前の課題
3法人別々で稼働する、グループウェアが利用者の負担に
――Garoon導入前の課題について教えてください。
医療事業本部 本部長 稲葉さん:私たちのグループには医療法人・社会福祉法人など、複数の法人が所属しています。 以前は、グループ内の3つの法人が別々のパッケージ版のサイボウズOfficeを導入して運用していました。愛広会の本部事務所とその周辺にある事業所では、法人をまたいで会議室・駐車場・社用車などの設備を共有しているのですが、法人ごとに別のサイボウズ Officeがそれぞれ稼働していたので、会議を設定したり施設を予約したりするためには各法人の確認が必要でした。日常的に発生する確認で、情報共有に手間がかかっていました。
私を含め幹部は複数の法人を管理していたので、サイボウズ Officeのアカウントを法人別に3つ持っており、必要に応じて別々のサイボウズ Officeにログインして利用していました。この方法は、複数法人を兼務している立場としては使い勝手もよくありませんでした。
これらの弊害をなくすために、別々で契約しているグループウェアを一つにまとめることにしました。
INDEX.02 導入の決め手
サイボウズOfficeと同様の操作性が決め手
――新しいグループウェアの検討内容について教えてください。
総務部 樋口さん:要件は4つあって「1,000名以上で利用できること」「ツールの移行にともなう、ユーザー側の負担が少ないこと」「複数法人で利用するので、適切なアクセス権コントロールができること」「クラウドサービスであること」でした。複数のサービスを比較した結果、これらの4つの条件を満たしたのが、Garoonでした。
まず、ユーザー数については、サイボウズ Officeは300名までの利用が推奨なので、ひとつのサイボウズ Officeに集約することはやめました。Garoonであれば、1,000名以上の規模で利用実績が多数ありました。
次に、ユーザーの負担については、グループ内にはコンピューターリテラシーの異なる、多様な資格を持つ医療職や介護職が多く在籍しています。その中で、皆が同じように情報を流し・吸い上げる必要があり、そこにサイボウズOfficeが役立っていました。ツールを変更すると新しい操作オペレーションを覚える必要がでてくるため、今まで使っていたサイボウズOfficeと同じような操作性であることは、ツール変更の負担が最小限で済むので大きなポイントでした。
複数法人で利用する際の事業所ごと、ユーザーごとにアクセス権を細かく設定したい、という点もGaroonはクリアしていました。
クラウドサービスについては、ユーザーから「外出先からの参照を簡単に行いたい」という要望があって、全員が外出先からも使えるようにしたくて、パッケージ版は検討しませんでした。医療データや個人情報はグループウェアには上げない運用を徹底しているので、セキュリティ的にもクラウド版で問題ないと判断しました。また、以前は、サーバーは事業所に置いてあり、機械の物理損失・劣化・ホコリなどからデータを喪失することを恐れていました。BCP対策の観点からもクラウド版が安全に思えました。
――サイボウズOfficeからGaroonへの移行作業はどのように行いましたか。その際、困難だったことはありますか。
総務部 樋口さん:スケジュールやメッセージのデータ移行を検討しましたが、あまりにもデータ量が多かったのでグループ全体ではデータ移行しませんでした。
代わりに約1年間Garoonとサイボウズ Officeを並行稼動し、必要に応じて個人でデータ移行してもらいました。各自が必要なデータを判断し、パッケージ版のサイボウズ Officeから必要なファイルをダウンロードしてGaroonにアップロードする形です。併用する中で、徐々にサイボウズ Officeは使われなくなっていき、振り返ると「並行稼動」と「移行作業の必要なものを各自で行う」という判断をして良かったと思います。
管理者としては、トップページの表示内容もあまり変えないようにしました。Garoonとサイボウズ Officeの使い方はほとんど同じだったので、移行過程で問題は起こりませんでした。
INDEX.03 導入効果
グループで共有する情報が一元管理されて利便性が向上
――グループウェアの共通化における導入効果について教えてください
総務部 樋口さん:グループ全体では、サイボウズOfficeを使っていた愛広会含む3法人がGaroonに移行した他に、これまでグループウェアを利用していなかった別の法人もGaroonを利用することになり、計6法人がクラウド版Garoonを一緒に利用しています。グループウェアを統合したことで、別法人であってもすぐに情報共有ができるようになりました。
複数の法人の間での情報共有やグループウェアの管理を共通化できたことが一番の効果で、グループウェア移行の目的を果たせました。経営陣も職員も、情報共有にかけていた手間がなくなって、業務時間にもゆとりが生まれました。誰もが自発的にGaroonを使っていて、みんな「情報を共有したい」と思うのでしょうね。「ファイル管理を使っていいですか?」など、新しい使い方に関する問い合わせをもらうことが多くなりました。
医療事業本部 本部長 稲葉さん:医療福祉の業界は、介護保険制度など法的規制も多く、市町村の福祉関連の動向などの情報をいち早く知らないと前に進んでいきません。Garoonには各事業所が得た行政の動向など、色々な情報が上がってきます。情報が大量に流れてくる時に、その都度電話でやり取りするよりもGaroonでパッと見えることで意思決定が早くできます。方針決定後はメンバーを決めてそのプロジェクトを進めることも行います。こうした一連のやり取りをするにあたりGaroonはとても使いやすいです。
業務を合理化・省力化するという意味で、グループの発展に貢献していると言えます。絶対的に便利なので、もしも無くなってしまったらかなり混乱するでしょうね。
――Garoonのスケジュール・施設予約の用途とその効果を教えてください。
医療事業本部 本部長 稲葉さん:法人をまたいで人やモノの予定を管理できるようになり、あらゆることのスケジュール調整が非常に楽ですね。今までは法人をまたいで施設を予約できないし、別法人のスケジュールを見るにはログイン・ログアウトが必要でしたが、今は各法人どこでも予約可能な施設をおさえることができます。施設予約の手間は半分になり、人と人の予定合わせ、来客の調整、応接室や車の予約が容易になりました。
会議室や社用車230台あるのですが、本部の近隣にある事業所は会議室や社用車を共用しており、その予約をGaroonで行います。各事業所には利用範囲の権限設定をしており、予約者から見えている事業所はどれも予約可能です。逆に予約権限のない施設は表示されません。車なら、1台1台の予約状況が一発で分かるのですごく楽ですね。本部の周辺では約700人が働いているのですが、現場の人は施設予約を使いこなしています。
医療事業本部 本部長 稲葉さん:当社では「Garoon上のスケジュールが空いていれば他人の予定であっても入れてよい」というルールで運用していることもあり、あらゆる予定が一発で決まります。このルールだと予定調整のための無駄な時間が削れてよかったです。
例えば、業者さんからアポの依頼が電話で入ると、受付をした人が空いているところに予定を入れるので、来客調整が非常にスムーズです。電話をとった人が「いついつなら空いている」とすぐに答えられるので、業者さんにはとても感心されます。
総務部 坂西さん:私はよく電話を受けるのですが、上司・車・会議室などの予約は早いもの勝ちなので、スケジュールが空いている場合はすぐに登録します。今はGaroonだけを確認すればいいのでスケジュール調整はとても楽になりました。
――スケジュール調整や施設の予約以外には、どんな効果がありましたか。
総務部 樋口さん:共有ファイルの保管が安心してできるようになりました。法人や事業所ごとに「ファイル管理」にフォルダを作ってアクセス権を設定しています。各法人は自身のアクセス権の範囲内で自由に利用します。基本的には他法人のファイルは閲覧できません。どんなファイルを保存するかは管理者に任せてあります。とりわけ、ファイルサーバーを持っていない小規模事業所は色々なファイルを保管して業務に役立てています。管理者としては、各事業所の管理者に権限を移譲しているので、全体を管理する負担はさほどありません。
――パッケージ版からクラウド版に移行したことによる変化について教えてください。
総務部 樋口さん:クラウドに移行した今は本当にどこにいてもGaroonを参照できるようになり、業務が効率化しました。外出先での予定調整のために「外出先からサイボウズOfficeを参照したい」というニーズは多数ありましたが、外部接続を実現するコストの問題を考えた時に簡単に導入できなかったのです。今は誰でも外出先からGaroonで予定をサッと確認できます。
例えば、社用車で外出して予約時刻よりも帰りが遅くなりそうな場合に、スマートフォンから確認して予約延長できるようになったことで予約にまつわるトラブルも無くなりました。
INDEX.04 今後の展望
システム全体をクラウド化していきたい
――Garoonの利用における今後の展望をお聞かせください。
総務部 樋口さん:今は紙の申請書を利用している出金依頼や稟議書などをGaroonのワークフローで行いたいと思っています。思い通りのフォーマットを作る方法をサイボウズのセミナーなどで研究しています。
グループ全体では、オンプレミスでのツールやファイルサーバーを BCP対策のためさらにクラウド化していきたいと考えています。今後、システム全体としてはクラウドが中心になっていくでしょう。
INDEX.05 詳しい使い方
電話メモ・スペース・ファイル管理
1:1の急ぎの連絡に電話メモを利用
不在時の伝言メモだけでなく、平時の急ぎ連絡でも活用
電話メモは、メール転送設定しているので電話で受けた伝言メモの連絡だけでなく、外出中の人に連絡をとりたい時にも利用します。外出者はスマートフォンで閲覧・即対応できるので、頻繁に利用されています。
複数人でのやり取り、テーマ性の高い業務にスペースを利用
業務でも業務外でも、テーマ別に自由に立ち上げてOK
テーマ性のある打ち合わせにはスペースが利用されます。業務、業務外どちらのテーマもOKです。スペースは自由に立ち上げて良いルールで運用されており、各種委員会や社員旅行など様々なスペースが存在します。
ファイル管理でペーパーレス化
Garoonとタブレットの組み合わせでペーパーレスを促進
法人をまたいで開催される会議の資料はファイル管理に保存しています。関係各所が会議資料をファイル管理内にある会議専用フォルダにアップし、参加者はiPadで閲覧をします。この方法でペーパーレスの会議を実現しました。
取材日 2022/7/14
導入パートナー企業