- 業種
- 教育機関
- 都道府県
- 東京都
- 利用人数
- 730名
- 形式
- クラウド版
- 導入前の利用製品
- パッケージ版 サイボウズ Office など
- 導入パートナー
- 株式会社大塚商会
帝京大学は、東京都の板橋や八王子、宇都宮、福岡、霞ヶ関の5つのキャンパスを有する総合大学です。同大学は2021年11月に、全キャンパスの事務方が利用するグループウェアをクラウド版 Garoonに統一。現在では職員と一部の教員の約730名が利用しています。キャンパスごとにバラバラだった情報共有手段をGaroonに統一した経緯とその効果について、本部情報センター 課長 明石喜哉さん、課長補佐 坂上仁史さん、係長 古川義郎さんにうかがいました。
INDEX.01 導入前の課題
必要な情報が大学の隅々にまで伝わらない
――貴学の特徴について教えてください。
帝京大学は、医学部から文系学部までを有する総合大学です。キャンパスは東京都の板橋や八王子、宇都宮、福岡、霞ヶ関の合計5か所にあります。各キャンパスにシステム担当者がいますが、全学的に何かをやるときは本部情報センターで取りまとめています。
――貴学の情報共有における課題について教えてください。
必要な情報が大学の隅々にまで伝わらないことが大きな課題でした。キャンパスごとに授業内容が全く違うこともあり、情報共有手段はそれぞれのキャンパスで発展してきました。具体的には、板橋の職員と本部はパッケージ版 サイボウズ Officeを、宇都宮は職員間でサイボウズ以外のグループウェアを。それ以外のキャンパスではメール・電話・FAXを利用してのやり取りでした。加えて、教員・職員・医師などいろいろな人が所属しており、勤務地や勤務時間がバラバラなこともコミュニケーションを困難にしていました。
連絡手段がメールしかないため、人事制度の改革やサーバーメンテナンスなどの重要なお知らせを全学に届けるのはかなり大変です。過去には3回送っても隅々にまでは伝わらなかったこともあります。このように情報共有に対する負荷が非常に高かったです。
――グループウェアを全学で共通化することになったきっかけについて教えてください。
グループウェアに限らずシステム全体を全学的に共通化していこうという流れの中で、グループウェアの話が出てきました。システムの共通化は、コロナ禍が1つのきっかけでした。コロナ対応のように緊急性の高い事案について、各キャンパスが個別に対応することがだんだん難しくなり、全学的にまとめて推進できるようにしようという話になったのです。また、人事制度の改革に伴う情報伝達がメールだけだと難しく、情報伝達を効率化しようということになりました。
5キャンパスが別々のシステムを利用するよりは一体化しているほうが情報共有も楽ですし、取り扱うデータ項目を揃えた方がデータの利活用も進みます。特にグループウェアは大勢が使うことで力を発揮するものです。情報共有のためにも情報活用のためにもデータとシステムの共通化が必要でした。
INDEX.02 検討の流れ
各キャンパスがそれぞれのタイミングでGaroonに参加
――グループウェアが最終的にGaroonに統一されるまでの経緯について教えてください。
グループウェアを全学で統一しようとしましたが、板橋キャンパスと本部で使っていたサイボウズ Officeは大規模では使えないと聞きました。そのため、まずはサイボウズ Officeをクラウド版 Garoonに移行しました。続いて福岡・八王子・霞が関がGaroonを使い始めました。宇都宮は以前から他社のグループウェアをオンプレミスで利用していましたが、グループウェア切り替えに向けた検証を重ねた末、Garoonへの移行に踏み切りました。こうして2021年11月には全キャンパスの職員にGaroonのアカウントが配布されました。
――他の選択肢もある中でクラウド版のGaroonに決めた理由を教えてください。
Garoonに決めた理由は、クラウドで利用できること、全キャンパスに速やかに展開できることの2点です。
クラウド化の目的はサーバーの管理をやめることです。板橋と宇都宮、それぞれのキャンパスでサーバーを立ててグループウェアを運用していたので、これをやめて運用しやすくしようとしました。また、コロナ禍による外部アクセスの需要もありました。学外からもスケジュールなどの情報にアクセスし、共有できるようにしたいと考えました。運用のしやすさと情報共有のしやすさという点で圧倒的にクラウド版でした。
クラウドで利用できる製品は多々ありますが、2つ目の「全キャンパスに速やかに展開できる」という点でGaroonになりました。違うものに変えて一からスタートするよりも、既存のサイボウズ Officeと同じサイボウズ製品のGaroonを展開するほうが早いと判断したのです。グループウェア統合を進める本部がサイボウズ製品を使っているので推進しやすかったこともあります。
――他社グループウェアを利用していた宇都宮キャンパスから、Garoonに対する懸念はありませんでしたか?
宇都宮には導入前に3ヶ月ほど、Garoonを利用できそうか検証してもらいました。グループウェアを新規に導入するほかのキャンパスと違って宇都宮は別製品からの切り替えなので、ほかのキャンパスよりも検証期間を長めに取りましたね。
INDEX.03 導入効果
時間と場所の制約を取り払い、情報共有がスムーズに
――全キャンパスのグループウェアをGaroonに統一した効果について教えてください。
最新の情報を広く周知できるようになったと感じています。以前は、重要な情報は上長にメールで送っていましたが、上長も膨大なお知らせの全てを部下に伝達できませんから、情報は伝わりきらない状態でした。Garoon導入後は、掲示板やポータルを使って重要なお知らせを周知できるようになりました。
また、スケジュール調整の労力は1/5ほどに減りました。これまではメールで日時調整をしていましたが、今はGaroonのスケジュールの空いているところに予定を入れてもらうだけで済みます。都度予定を聞かれることがなくなり、スケジュールの調整は楽になりました。
情報共有や調整業務の負荷が下がっただけでなく、今まで共有されていなかった情報が共有されるようにもなりました。たとえば、以前は職員配置図を全学的に共有しておらず、問い合わせがあった時にメールで送っていました。今はGaroonのファイル管理に職員配置図や申請書の書式を載せており、必要に応じてダウンロードしています。ダウンロードすれば良いので、やり取りにかかっていた1回20分程度の時間を短縮できました。メールで送ってもらっていたときと違って、常に最新の情報を見られるのも便利です。
本学の5つのキャンパスは離れており、人も大勢いますし、中にはシフト勤務の人もいます。そうした情報共有における時間と場所の制約を、システムの力を使って取り払えるのは大きいです。メールだと宛先の人しか見られないので、広く周知するためにはそのための手段を持っている必要があると感じます。
――GmailやMicrosoft 365もご利用中とのことですが、Garoonとの使い分けはどうしていますか?
メールは個人間のやりとりに、TeamsやSharePointはチームやプロジェクト単位で必要な人が使っています。一方、大学全体や各組織内で広く周知するのにはGaroonを使います。掲示板やファイル管理など、情報の周知・共有に使える機能が一つにまとまっているのはグループウェアの便利なところですね。Garoon導入にあたっては利用に関するガイドラインを作成し、しっかりGaroonでのお知らせを見てもらえるようにしました。
INDEX.04 今後の展望
情報共有の力で、できることを増やす
――Garoon活用の展望について教えてください。
現在は申請関連の書式をファイル管理から印刷し利用しているので、これをワークフローに置き換えたいです。また、現在はGaroonを使っていない病院の事務や教員全体にも利用を広げようと計画しています。ここまで入ると6,000人規模での利用になります。
Garoonの活用で仮に作業時間が1/3になれば同じ時間で3倍のことができ、大学としてやれることがさらに増えます。また、Garoonを通じて学内で共有できることが増えれば、いろいろなことの共通認識が生まれるので大学全体の動きも良くなっていくと思います。情報共有の力でできることを増やし、学生へのサービス向上につなげたいです。
INDEX.05 詳しい使い方
ポータル・掲示板・ファイル管理・施設予約
部署やキャンパスごとにポータルを作成
それぞれに管理者を設定し、運用を一任
ポータルは部署やキャンパスごとに作成しています。アクセス権を設定し、利用者に必要なものだけを表示させます。ポータルの管理者を部署やキャンパスごとに任命し、運用を任せています。
全学へのおしらせは掲示板で
権限設定を活用し、閲覧や書き込みのコントロールも
全体へのお知らせはGaroonの掲示板を使っています。全キャンパス向けの掲示板は全員閲覧でき、組織別の掲示板はその組織の人だけが閲覧できるよう、権限を設定しています。掲示板に書き込む権限も設定してあり、掲示板の種類によって係長や課長以上が書き込めることになっています。
ファイル管理で最新の書式を共有
メールで問い合わせる手間を削減
ファイル管理では職員配置図や申請書のフォーマットを共有しています。ファイル管理の情報はポータルにも表示しており、常に最新情報を確認できるようになりました。以前はメールでフォーマットを取り寄せていましたが、その手間も無くなりました。
運動部の練習場も施設予約で管理
広い練習場は利用実態に合わせて5分割する工夫も
帝京大学にはラグビー部・駅伝競走部 ・チアリーディング部など、有名な運動部が複数あります。彼らは広大な練習場を共用しており、その予約をExcelで行っていました。これをGaroonに置き換えたことで、いろいろな場所から練習場をスムーズに予約できるようになりました。利用状況も一覧しやすいです。部活動への取材依頼が来たときに、希望日時に部員がどこで練習しているかを簡単に把握できるようにもなりました。
Garoonでの施設予約へ置き換えるにあたり、広大な練習場を一つの施設として登録してしまうと、複数の部活動が同時に予約できなくなります。これでは、練習場を分割して同時刻に利用している実態と合いません。そのため練習場を5分割し、分割したそれぞれを施設として登録する工夫をしました。
取材日 2022/9/14
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