- 業種
- 教育機関
- 都道府県
- 京都府
- 利用人数
- 560名
- 形式
- クラウド版
- 導入前の利用製品
- パッケージ版 サ イボウズ Office
「親鸞聖人の体せられた仏教精神にもとづく人間教育」を建学の精神とし、幼稚園から大学院まで一貫した教育環境を提供している学校法人京都女子学園では、2004年から約16年、オンプレミス環境でパッケージ版 サイボウズ Officeを運用してきました。
しかし全学共通の情報共有基盤を構築すべく、クラウド版 Garoonへ移行。ワークフロー製品「X-point」とあわせて業務基盤を整備しています。その経緯について、京都女子大学 総務部 情報システムセンター 課長 姑射 博章(こや ひろあき)さんと法人本部 法人事務室 川上 和教(かわかみ かずのり)さんにお話を伺いました。
INDEX.01 導入前の課題
500名規模での安定稼働、
学外からのアクセスが課題に
――貴学の特徴とお二人の業務内容について教えてください。
姑射さん:京都女子学園は幼稚園から大学院まで一貫教育を行っており、同じ敷地内に幼稚園、小学校、中学校、高校、大学・大学院があります。学園全体での行事など、学校間での連携が必要な仕事もあります。私は大学の総務部情報システムセンターに所属していますが、学園全体のITシステムを管理しています。
川上さん:私が所属する法人事務室では理事会に関する業務などを行っています。ITシステムに関する業務としては、全学でのワークフローシステム導入に関わっています。法人事務室で業務を整理して起案し、情報システムセンターと一緒に展開しています。
――幼稚園と大学事務、附属小学校で、それぞれサイボウズ Officeを導入されており、それらを統合する形でクラウド版 Garoonを導入されたと伺っています。以前はどのようにサイボウズ製品をご利用だったのですか?
姑射さん:幼稚園を含む大学の事務職と附属小学校で、それぞれ別のサイボウズ Officeを契約していました。どちらもスケジュールやメールを中心に活用していました。
2018年頃、文部科学省からの要請を受け、学園全体で教職員の労務管理の厳格化が必要になりました。そこでサイボウズ Officeの利用を全学に拡大し、タイムカード機能を使って紙の出勤簿による勤怠管理から脱却しようとしました。大学の専任教員や中学などの教職員を含めた約500人で使えるよう、大学の事務で利用していた方の環境をサイボウズ Officeの無制限版ライセンスに切り替えたのです。
――勤怠管理をきっかけにご利用範囲が全学に広がったのですね。
姑射さん:勤怠管理に限らず、学校横断のプロジェクトや全学の行事など、情報を一元化する方が便利なことは多々あります。会議の日程調整や全学への通達もやりやすくなると考えました。ただ、当初と比べて倍以上の500人規模で利用する環境になり、サイボウズ Officeではレスポンスが悪くなってしまいました。
――学外からの利用についても課題があったと伺いました。
姑射さん:オンプレミス環境でサイボウズ Officeを運用しており、学外からアクセスできませんでした。教職員からは「出張のときにスケジュールを確認できなくて不便」といった声も……。学園内全体に拡張していくには、多くの方がアクセスしやすい環境が必要です。従来のようなオンプレミス環境ではなく、クラウドの利用が最適だと考えました。500名規模での快適なアクセスとクラウド環境を求めて、サイボウズ Officeからの移行を検討したのです。
――全学への利用拡大とクラウド移行の他に、取り組みたかったことはありますか?
川上さん:同時期に法人本部では、紙で運用してきた申請の電子化を検討していました。それまでの運用は、紙で申請書を作成し、上長に押印してもらうアナログなものでした。処理の迅速化と業務の効率化という点でワークフローの導入検討が始まり、姑射さんに相談を持ち掛けました。
姑射さん:申請に不可欠なワークフローと連携すれば、日常的にグループウェアが利用されるようになり、勤怠情報もきちんと入力されるはず。そう考えて、双方をうまく連携させる仕組みづくりにも取り組むことになりました。
INDEX.02 導入の決め手
サイボウズ Officeから迅速かつ負担なく移行でき、
アクセス権設定も充実
――500名規模での快適なアクセス、クラウドでの利用、ワークフローとの連携を要件として、製品選定はどのように進めたのですか?
姑射さん:お付き合いのあるベンダーから「同じサイボウズ製品でもGaroonであれば数百名以上の規模でもスムーズに利用できる」と聞いて、クラウド版 Garoonの導入検討を始めました。サイボウズ Officeが便利だったので、サイボウズ製品から変える理由はありませんでした。全く新しいツールを一から展開すると、エネルギーも時間もかかってしまいます。対してGaroonであればバージョンアップの感覚で移行できます。サイボウズ Officeから迅速かつ負担なく移行するためにGaroonを選びました。
姑射さん:また、幼稚園から大学院まで学園全体で利用するとなると、たとえば大学だけで共有したいスケジュールなども当然出てきます。情報の公開範囲を制御しやすいGaroonであれば、現場の運用に合わせられると考えました。
――ワークフロー製品はどのように選定されましたか?
川上さん:スムーズに学内へ展開するために、従来の申請様式を再現できることが重要でした。そのため、グループウェアのワークフローではなく、紙の様式を再現できるX-pointを選びました。複数のツールを利用することにはなりますが、GaroonとX-pointであればシングルサインオンが可能ですし、Garoon上でX-pointでの承認状況を確認できます。このように業務の入り口として拡張していける点もGaroonは魅力的でした。
INDEX.03 導入効果
全学共通の基盤で情報共有がスムーズに
クラウド活用でテレワークも
――現在はどのようにGaroonをご利用中ですか?
姑射さん:2020年5月に小学校、幼稚園と大学で利用していたサイボウズ Officeの環境をGaroonへ統合し、現在は約200名が利用しています。スケジュールやメッセージ、メール、掲示板、タイムカードと、サイボウズ Office時代から変わらず活用できています。Garoonは大規模での稼働実績もありますし、いずれは全教職員に向けて展開していく予定です。
――グループウェアを統一したことで、どのような効果がありましたか?
姑射さん:学園全体の勤怠を管理できるようになったことに加えて、全学共通のお知らせを掲示板で一斉に出せるようになりました。これまでは大学と小学校で別のサイボウズ Officeに書き込んだり、紙で配ったりしていましたが、Garoonで一斉に周知できるようになり、伝達漏れの防止、情報共有の時間短縮につながっています。 「Garoonに書き込めば管理職がきちんと確認してくれる」と安心の声も聞きます。
姑射さん:学内だけに限定した情報はメッセージでやり取りしています。一部のスケジュールには、学校ごとにアクセス権を設定しています。「完全にオープンだと困るが関係者では共有したい」という場合もありますから。
――オンプレミスでの運用からクラウドに移行した効果はいかがですか?
姑射さん:家からでもスケジュールやメッセージを確認できるようになり、テレワークでも大いに役立っています。管理者としては、サーバ管理の負担を大きく軽減できますし、常に最新の機能を利用できるのもメリットです。また、学園内に環境があると、万が一自然災害が発生した際に連絡手段がなくなってしまうリスクもあります。BCPの観点からもクラウドが最適です。
――GaroonとX-pointの連携についても教えてください。
姑射さん:X-pointには標準でGaroonとの連携機能があり、GaroonのポータルでX-pointの通知や処理状況を確認できます。ワークフローのためだけに別のツールを立ち上げる必要はないので、スムーズに承認作業を進められます。
姑射さん:GaroonとX-pointの認証にはCloudGate UNO(クラウドゲート ウノ)を利用し、シングルサインオンできるようにしています。それぞれにアクセスするたびに認証が必要だと不便ですから。
川上さん:まずは職員の利用から始めており、出張先からでも手軽に承認できると管理職の方からも好評です。以前は承認までに1か月ほどかかっていた申請もありますが、半分以下程度に短縮できています。
――グループウェア移行となるとデータ移行や利用浸透が課題になるケースが多いです。サイボウズ Officeからの移行においてご苦労はありましたか?
姑射さん:特にありません。データはメールや掲示板などほぼ全て移行しました。移行作業はサイボウズ オフィシャル パートナーに依頼したので負担はありませんでした。データ移行できたからか、教職員からの不満もほぼありません。
INDEX.04 今後の展望
Garoonを情報基盤の核にしたい
――現在のところGaroonやワークフローは大学を中心に展開されています。今後はどのように展開する計画ですか?
姑射さん:現在は大学の職員、附属小学校や幼稚園を中心に利用していますが、大学教員や中学校、高校の教職員にも展開する予定です。申請・承認に不可欠なワークフローを全学に展開する際に、Garoonもあわせて使っていただこうと考えています。また、大学ではWordやPowerPointなどを利用できるようMicrosoft 365を導入しています。教職員で利用するGaroonと授業で利用するMicrosoft 365を、うまく整理したいです。
――今後の展開でも、Garoonのポータル画面を中心に各システムを連携させていくイメージですか?
姑射さん:情報やツールへの入り口を集約できるよう、できる限り1つのポータルにまとめようと考えています。Garoonに集約すれば業務をワンストップにできます。給与明細のようにGaroon上に掲載しづらい情報でも、気になるときにすぐアクセスできるよう、入り口だけはGaroonに用意しておくといったことも検討したいですね。今後のシステム導入では、Garoonと連携できることを前提に調達すると思います。
――学園全体の情報共有基盤としてはどのようにお考えでしょうか?
姑射さん:コミュニケーションという意味でもシステム連携という意味でも、Garoonを核として学園をつなげていきたいと考えています。たとえば、Garoonのポータルで情報を発信すれば紙でのお知らせよりも目にしてもらいやすいですし、何かあればメッセージを使って学校の垣根を超えたやり取りができます。幼稚園から大学院まで、同じ敷地内と言っても施設は離れていますし、いちいち移動してやりとりするのは大変です。Garoonで学園全体でのコミュニケーションが活発になること、また先生方の事務手続きが手軽になって教育研究の時間を確保できることを期待しています。
INDEX.05 詳しい使い方
掲示板、スケジュール、ポータル
全学へのお知らせで「掲示板」活用
グループウェアの統一により
全学への迅速な通達が可能に
これまでは大学と小学校で別のサイボウズ Officeに書き込んだり、紙で配ったりしていましたが、Garoonの掲示板に書き込めば全学へ通達できるように。伝達漏れの防止、情報が行きわたるまでの時間短縮につながりました。
学内の施設予約で「スケジュール」を活用
管理範囲を全学に拡大、
メモ欄で運用ルールの共有も
Garoon導入時にグループウェアで管理する施設を増やし、他の学校内の会議室も予約できるように。施設グループを設定して管理しています。 施設ごとの運用ルールはメモ欄に記載しています。
「ポータル」をワークフロー製品への入り口に
SSOと表示連携で
グループウェアへのログインのきっかけにも
GaroonのポータルでX-pointの承認状況を確認したり、申請を検索したりできます。GaroonとX-pointはシングルサインオンできるので、1クリックで画面遷移可能です。Garoonを介してX-pointを利用する導線を整備し、Garoonにログインするきっかけを作っています。日々の業務に必須の機能をグループウェアに載せることで、利用浸透しやすくなります。
取材日 2021/09/30
導入パートナー企業