- 業種
- 教育機関
- 都道府県
- 東京都
- 利用人数
- 920名
- 形式
- クラウド版
株式会社ベネッセコーポレーションは、幼児~高校生向け通信教育「進研ゼミ」をはじめとする教育事業を中心に、育児、生活、語学・グローバル人材教育、シニア・介護の領域で数多くの事業を展開しています。同社の小中学校事業本部では全国の小中学校向けに「ICTサポート事業」を行っており、その運用基盤としてGaroonとkintoneを利用しています。今回は、ICT教育サポート課 課長の森田 浩充さんをはじめ、導入担当者 小犬丸 郁夫さん、運用基盤グループリーダー 町田 明子さん、運用担当 北森 真裕美さんにGaroonとkintone導入の経緯や活用方法、導入効果についてお話を伺いました。
INDEX.01 導入の背景
ICTサポートの品質を向上するための基盤をつくりたい
―― まず貴社のICTサポート事業について教えてください。
森田さん:「ICTサポート事業」は教育現場のICT導入や授業づくりを支援する、2000年に始まったベネッセコーポレーションのICT支援員事業の老舗です。主力製品である授業支援ソフトの「ミライシード」を提供したり、教育委員会からの委託でICTサポータを自治体や学校に派遣して先生方に授業提案を行ったりしています。2020年に文部科学省からGIGAスクール構想が打ち出されたことをきっかけに事業は急成長し、2022年には全国の自治体や学校に869名のICTサポータを配置しました。
―― Garoonとkintoneを長年ご利用いただきありがとうございます。早速ですが両ツール導入の背景をお聞かせください。
小犬丸さん:以前は機能の異なる6つのシステムを併用していました。これにより複数のシステムにそれぞれのID・パスワードでログインしたり、同じデータや情報を入力したりと二重管理になっていました。入力に加えてツールを跨いだデータの集計や分析、確認作業の負荷も高かったです。また、主にメールを使用していたので、情報がすぐに埋もれてしまうことも課題でした。
ICTサポータの目標は「現場で作ったノウハウや事例をスムーズに他エリアのサポータへ共有し、学校でのパフォーマンスを上げること」です。これを実現するには、作業負荷が高くなく、簡単に情報共有ができるツールが必要でした。当時は一部のシステムが老朽化していたこともあり、刷新する必要があると考えました。
複数システムの併用の課題
- ツールごとにログインする、同じデータを複数ツールに登録する手間
- メールによる情報共有で情報が埋もれやすい
- 分散したデータの集計や分析、確認の負荷が高い
INDEX.02 導入の決め手
Garoonとkintoneがあれば、ICTサポータがストレスフリーに情報を共有できる
――ICTサポータの情報基盤の再構築にあたり、Garoonとkintoneに決めた経緯を教えてください。
小犬丸さん:ツールの検討を始めたのは2013年でした。3製品を比較することになり、操作性・セキュリティ・コストの比較表を作って各項目を評価しました。Garoonとkintoneがどの項目においても要件を満たしました。
Garoonとkintoneの導入の決め手
- Garoonとkintoneは操作方法がわかりやすく、連携させて一つのシステムとして扱える
- kintoneは柔軟なカスタマイズが可能で、データ集計機能も使える
- Garoonのファイル管理や掲示板への細かなアクセス権限を簡単に設定できる
- 既にサイボウズを利用していたグループ会社の意見も良好だった
- 当時感じていた疑問を解決してくれた、サイボウズの営業担当者の丁寧な提案や支援があった
以上のことからGaroonとkintoneを使えばサポータがストレスなく情報を共有できるようになると考え、会社の承認を得て2014年から実利用に至りました。
INDEX.03 活用方法
Garoonは情報の保管庫として、kintoneは申請や報告業務で活用
――Garoonとkintoneの利用範囲について教えてください。
北森さん:Garoonとkintoneのユーザーは、全国のICTサポータとベネッセ小中学校事業部の社員、約900人です。ICTサポータは、所属する都道府県と必要なアプリやフォルダのみが閲覧できるように両ツールともアクセス権を設定しています。
――次にGaroonとkintoneの利用の全体像について教えてください。
北森さん:当社ではGaroonとkintoneを合わせて「サポータBANK」と呼んでいます。全国のICTサポータが授業支援をする時に使う資料が集まるサイトという意味で名付けました。
Garoonは情報の保管をする場所としてポータル、掲示板、ファイル管理をよく活用しています。
中でもICTサポータが1番利用するのは主力製品である「ミライシード」に関するポータルです。商品に関する情報は多数あるので、このポータルから商品関連情報すべてにアクセスできるように設計しています。例えばセミナーの告知がある掲示板のリンクや、会社が準備した提案書が保管されているファイル管理のリンクを集約させています。なお、ポータル情報の更新は各項目の担当者がそれぞれ行います。
一方、kintoneでは、共有資料の掲載申請、勤怠入力、報告書をはじめ各種申請を行います。
特に重要なのは、資料の「チェック申請アプリ」です。主に、ICTサポータが作成した授業ノウハウや事例を、全国に共有するための情報やデータの登録場所として利用しています。このアプリから申請された資料は、複数の担当者が著作権や個人情報などの観点で入念にチェックした後にGaroonのファイル管理に保管されます。
――勤怠管理・活動報告など事務作業での使い方も教えてください。
北森さん:勤怠・活動報告はkintoneアプリで行います。ICTサポータが「勤怠アプリ」で勤怠状況を登録するときに「活動報告アプリ」も開けるようアプリ連携のボタンを作っていますので、続けてその日の活動内容を入力することができます。また翌月初めに、担当者が教育委員会への報告書を作成しますが、そのときには、「活動報告アプリ」に集まった数字の集計と報告書の作成が自動でできる「活動内容出力アプリ」を利用します。
INDEX.04 導入効果と今後の展望
情報の一元化と業務の効率化に成功し、蓄積された情報が会社の財産に
――Garoonとkintoneの導入効果についてお聞かせください。
北森さん:情報をGaroonとkintoneで一元管理できるようになり業務効率が上がりました。例えば、以前は目的の資料の所在がわからなくなっていましたが、今はポータルにリンクが集約しているためすぐにたどり着けます。他のメンバーに情報の所在を伝える場合もリンクで案内できる点が便利です。また、サポータがアプリに業務内容をタイムリーに入力することで現場の状況を把握しやすくなりました。
以前のシステムでは、サポータの勤怠確認や活動報告に長い時間をかけていました。しかし、kintoneの勤怠アプリや活動報告の運用を開始してから体感で作業時間が3分の2以下に短縮しました。
他にも、サポータの所属地区やレコードごとにアプリの閲覧権限を細かく設定できる点は、管理者として大きなメリットを感じます。ICTサポート事業では地区ごとに見せても良い情報と伏せるべき情報があるため、当社の組織運営に合っているのです。
さらに、Garoonとkintoneにより、学校での情報漏洩を防ぐための仕組みを作ることもできました。以前は授業提案するための資料をUSB等の記録媒体に入れて学校に持ち込んでいましたが、紛失などの危険もありました。しかし、学校でのGaroonの使用許可を教育委員会からいただいたことで、ICTサポータがUSB等の記録媒体を学校に持ち込むことなく、Garoonのファイル管理から学校で資料を利用できるようになり、 全国の先進的な授業実践事例や授業提案書・年間計画等の資料を学校にいち早く展開できるようになりました。ここは非常に大きなメリットです。
町田さん:Garoonとkintoneにより900人規模のサポータからの情報を組織マネジメントにうまく活用できています。またICTサポータへの意識調査では「サポータBANKがあることで情報共有がタイムリーにできる」「蓄積された過去の情報は会社の財産だ」という声が寄せられており、以前よりも高品質なサービスが提供できているという実感があります。
Garoonとkintone導入後の効果
Garoonとkintone導入前 | Garoonとkintone導入後 | |
---|---|---|
データの入力作業 | 同じデータを複数ツールに登録する手間があった | Garoonとkintoneで一元管理して業務効率が上がった |
データの集計・確認作業 | 複数システムのデータ集計や分析、確認作業の負荷が高い | kintoneで集計分析を自動化できた データの確認時間が3分の2以下に短縮 |
情報共有の簡易性 | メールによる共有で情報を見つけにくい | ポータル・掲示板・ファイル管理に情報が集約されて見つけやすい |
情報漏洩のリスク | USB等の記録媒体の持ち込みによる資料の共有で情報漏洩のリスクがあった | 組織にあったアクセス権設定ができる 情報漏洩を防止する仕組みができた |
――Garoonとkintoneを今後どのように活用していきたいですか?
北森さん:現状Garoonに保存している情報量が非常に多いので情報がもっと探しやすくなるようにGaroonのポータルのカテゴリ分けを始めました。カテゴリの整理が終わった後は各ポータルのデータも整理して誰もが必要な情報にすぐにたどり着ける状態を作ろうと思います。
町田さん:急激に組織が大きくなっているところなので組織全体の業務負荷を下げることを検討しています。具体的には、アプリのカスタマイズによる作業の自動化や、ICTサポータから郵送される資料をデータで回収することです。これらによりICTサポータが学校でのサポートにより注力できる環境を目指します。
――最後にGaroonとkintoneの併用を検討されている企業様にメッセージをお願いします。
北森さん:複数のツールを併用していて情報の所在がわかりにくいことが課題と感じている企業に、Garoonとkintoneはおすすめです。情報を一元的に管理できるので生産性が上がります。最初の設定は難しく感じる場面もあると思いますが、運用に乗ればエクセルを使うよりも情報の集約やデータ集計がとても簡単になりますよ。
INDEX.05 詳しい使い方
ポータル・ファイル管理・アクセス権・kintone
10個以上のポータルを作成
膨大な情報をポータルごとにわかりやすく集約
主力製品の授業支援ソフト「ミライシード」、サポータの業務や新人フォローなどの製品や業務ごとに多岐にわたるポータルを作成。他のアプリケーションやkintoneの情報に辿りつきやすいようにそれぞれ設計しています。
ファイル管理に膨大な資料を分類・保管
カテゴリ分けで情報を見つけやすく整理
全国から集まった事例や学校に提案する資料を、地区や学年、科目などカテゴリ分けしてサポータが見つけやすいように工夫しています。
組織にあわせた細かなアクセス権設定
閲覧権限の設定で表示・非表示をコントロール
雇用形態が異なる約900人に対してアクセス権を設定するので、所属エリアや役職に応じて閲覧権限の設定を行っています。
kintoneアプリで勤怠情報や活動内容を管理
勤怠情報をkintoneで一元管理
以前複数ツールから情報を集めて行った活動内容の集計作業は、kintone上で完結するので作業ストレスを減らすことができました。
取材日 2023/12/06
導入パートナー企業